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十六(じゅうろく)ささげとごまのから

十六ささげとごまのから むかしむかし、北野(きたの)神社(じんじゃ)の氏子(うじこ)に、どうにも手(て)のつけようがない一人者(ひとりもの)の五郎(ごろ)兵衛(べえ)という、ほうとう者(もの)の百姓(ひゃくしょう)が住(す)んでおりました。

 それはちょうど北野(きたの)神社(じんじゃ)の秋(あき)の祭(まつ)りのことでした。五郎(ごろ)兵衛(べえ)は、その日(ひ)もまた酒(さけ)を朝(あさ)からしこたま飲(の)み、「ケッ、ばがこげえ、神様(かみさま)なんてどこにもいるもんであっか。もしいだら、矢(や)でも鉄砲(てっぽう)でも持(も)ってきて、この俺(おれ)様(さま)をしこたまぶぢのめしてみろ。」と大変(たいへん)ごきげんでした。そして夕方(ゆうがた)、五郎(ごろ)兵衛(べえ)は豊年(ほうねん)踊(おど)りでにぎわう神社(じんじゃ)へ出(で)かけました。境内(けいだい)は、氏子(うじこ)たちの豊年(ほうねん)の喜(よろこ)びで、いっぱいの人(ひと)だかりでした。

「ドンドコドン、ドンドコドン、ドンドコドンドンドン・・・」という太鼓(たいこ)の音(おと)に合(あ)わせて、十五(じゅうご)か十六(じゅうろく)の娘(むすめ)が一人(ひとり)で楽(たの)しそうに踊(おど)ってるのが踊(おど)りの輪(わ)の中(なか)に見(み)えました。五郎(ごろ)兵衛(べえ)がその娘(むすめ)をジィーッと見(み)つめていると、娘(むすめ)も五郎(ごろ)兵衛(べえ)に気(き)があるのか、ジィーッとこちらを見(み)つめてきました。やがて、意気投合(いきとうごう)した二人(ふたり)は、踊(おど)りもたけなわのころ、人目(ひとめ)を避(さ)け薄暗(うすくら)がりを求(もと)めてやぶの中(なか)へそおっと入(はい)っていきました。そしていろいろなことを一晩(ひとばん)中(じゅう)語(かた)り明(あ)かしたそうです。

明(あ)け方(がた)近(ちか)くになり、さすがの五郎(ごろ)兵衛(べえ)も疲(つか)れて、ウツラウツラと、つい寝入(ねい)ってしまいました。そして、朝日(あさひ)がさし込(こ)み五郎(ごろ)兵衛(べえ)が目(め)を覚(さ)ましあわてて起(お)き上(あ)がると、そこは十六(じゅうろく)ささげとごまの畑(はたけ)で、あの娘(むすめ)はどこにも見(み)当(あ)たりませんでした。あせった五郎(ごろ)兵衛(べえ)は、十六(じゅうろく)ささげのつるに足(あし)をひっかけ、転(ころ)んだ拍子(ひょうし)に目(め)をごまの殻(から)でいやというほど突(つ)いてしまいました。五郎(ごろ)兵衛(べえ)は、ほうほうの体(てい)で家(いえ)に帰(かえ)り、痛(いた)い目(め)をおさえながら、あの娘(むすめ)について氏子(うじこ)の者(もの)に聞(き)いてまわりましたが、誰(だれ)も娘(むすめ)を知(し)る者(もの)はありませんでした。

 やがて、娘(むすめ)のことも忘(わす)れかけたころ、いつまでたってもごまの殻(から)で突(つ)いた目(め)が治(なお)らないので、高名(こうめい)な占(うらな)い師(し)に聞(き)くと、北野(きたの)神社(じんじゃ)様(さま)が五郎(ごろ)兵衛(べえ)を思(おも)って、試練(しれん)を与(あた)えてくださったのだから、百姓(ひゃくしょう)仕事(しごと)に精(せい)を出(だ)せば目(め)はたちまち治(なお)るとのことでした。その後(ご)、五郎(ごろ)兵衛(べえ)は神様(かみさま)を侮辱(ぶじょく)したことを深(ふか)く悔(く)い、百姓(ひゃくしょう)仕事(しごと)に一生懸命(いっしょうけんめい)精(せい)を出(だ)し、村(むら)一番(いちばん)の百姓(ひゃくしょう)になり、三国一(さんごくいち)の花嫁(はなよめ)をとり幸(しあわ)せに暮(く)らしたそうです。

 それを聞(き)いた北野(きたの)神社(じんじゃ)の氏子(うじこ)の人(ひと)たちは、五郎(ごろ)兵衛(べえ)が村(むら)一番(いちばん)の百姓(ひゃくしょう)になったのがねたましく、「十六(じゅうろく)ささげとごまを作(つく)って、ばちが人様(ひとさま)に当(あ)たっては申(もう)しわけがない」と皮肉(ひにく)を言(い)い、作(つく)らなくなってしまったそうです。それが今(いま)では話(はなし)が変(か)わり、十六(じゅうろく)ささげとごまを作(つく)るとばちが当(あ)たると代々(だいだい)語(かた)り継(つ)がれ、北野(きたの)神社(じんじゃ)の氏子(うじこ)たちは作(つく)らないことにしているそうです。

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