文化・スポーツ

取上石(とりあげいし)

取上石 むかしむかし、この大石(おおいし)はまる山(やま)という所(ところ)にありました。赤坂(あかさか)の殿様(とのさま)がこのすばらしい大石(おおいし)に目(め)をつけ、何十人(なんじゅうにん)という人夫(にんぷ)を使(つか)い、少(すこ)しも傷(きず)つけず、お城(しろ)の庭(にわ)に運(はこ)ぼうとしましたが、真坂(まざか)までくると大地(だいち)に根(ね)をおろしたようにぜんぜん動(うご)かなくなってしまいました。そして「この大石(おおいし)は、真坂(まざか)の主(ぬし)になりたいのだろうから、このまま動(うご)かさない方(ほう)がいいだろう。」と、道(みち)の真(ま)ん中(なか)にそのまま置(お)いていったそうです。

 しかし、ここには不心得者(ふこころえもの)ののんべえ夫婦(ふうふ)がいました。その晩(ばん)、酒(さけ)に酔(よ)って千鳥(ちどり)足(あし)で歩(ある)いてくると、この大石(おおいし)にさっそくぶつかりました。そして「なんだなんだ、じゃまな石(いし)だ。俺(おれ)様(さま)のお通(とお)りを知(し)らないのか。」と、夫婦(ふうふ)はこの石(いし)をののしり、暴言(ぼうげん)のかぎりをつくし、おまけにジャージャーと小便(しょうべん)をかけ、意気揚々(いきようよう)と引(ひ)き揚(あ)げていったそうです。

 ところが、夫婦(ふうふ)が家(いえ)に帰(かえ)って寝(ね)ようとすると、急(きゅう)に変(へん)な所(ところ)が痛(いた)みだし、子(こ)どもができない病気(びょうき)になってしまいました。しかも、あの大石(おおいし)に悪(わる)いことをした時間(じかん)になると、痛(いた)みはさらにひどくなりました。

 数(すう)か月後(げつご)、夫婦(ふうふ)はいくらたっても病気(びょうき)がよくならないので、あの大石(おおいし)のたたりに違(ちが)いないと自分(じぶん)たちのしたことを深(ふか)く悔(く)い、涙(なみだ)を流(なが)し大石(おおいし)に許(ゆる)しを請(こ)いました。すると、「清(きよ)めてくれ~、酒(さけ)で洗(あら)ってくれ~。」と、大石(おおいし)の声(こえ)が聞(き)こえました。夫婦(ふうふ)は言(い)われたように酒(さけ)を用意(ようい)し、心(こころ)を込(こ)めて大石(おおいし)をすっかりと酒(さけ)で洗(あら)い清(きよ)めると、痛(いた)みはなくなり、病気(びょうき)は間(ま)もなく治(なお)ってしまいました。それからは、この夫婦(ふうふ)はまじめになり、酒(さけ)もぷっつりとやめて、毎日(まいにち)この大石(おおいし)を酒(さけ)で洗(あら)い清(きよ)めるのを日課(にっか)としたそうです。

 この高(たか)さ五(ご)メートル、幅(はば)四(よん)メートルの自然(しぜん)石(せき)の大石(おおいし)は、村(むら)の人(ひと)から取(とり)上石(あげいし)と呼(よ)ばれるようになり、子(こ)どものできない夫婦(ふうふ)は、二人(ふたり)そろって酒(さけ)で大石(おおいし)を洗(あら)うと、子(こ)どもができると言(い)われるようになりました。また、お産(さん)の前(まえ)に取(とり)上石(あげいし)をさすると、難産(なんざん)からのがれられるとも言(い)われるようになりました。

 そして、今(いま)でも田植(たう)えの前(まえ)になると、お神酒(みき)と赤(あか)まんまをお供(そな)えし、安産(あんざん)と五穀(ごこく)豊穣(ほうじょう)を願(ねが)いお祈(いの)りしているそうです。

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